積極的なリノベ投資が、 大きなリターンを生み出す
2018年に国土交通省が発表した「マンション大規模修繕工事に関する実態調査」によると、大規模修繕工事の費用相場は1戸あたり約81~100万円かかるそうです。修繕箇所の劣化状況によって工事費用は様々ですが、アパートやマンションの修繕には、相当なコストが発生することは明らかだといえます。
大家さんは修繕費用を捻出するために、家賃収入の一部を毎月コツコツと貯めています。しかし、近年の原材料や人件費の高騰により、想定していた予算内では修繕が収まらないケースが増えています。限られた予算の中で部屋を修繕しようとすると、壊れたところを直すだけのリフォームで終わってしまい、いつまで経っても家賃を上げることができず、入居者を増やすこともままならない状況になってしまいます。
部屋の修繕費は思い切ってローンを組み、お金をかけてリノベーションをすることをお勧めします。間仕切りを広くしたり、機能性の高いキッチンに入れ替えたりしたほうが、付加価値が上がり、家賃を値上げしても入居者が増え続ける好循環が生まれます。
生活スタイルや部屋の好みは時代とともに変わります。アパートやマンションを建てた数十年前に比べて、家具や家電の使い勝手も大きく変わっています。建てた当時の部屋のままでは入居者は減る一方となり、どこかで部屋のリフォームに思い切った投資をしなければ、収益性の高い物件に切り替えることができません。
アパートやマンションの経営は、ビジネスと同じだという意識を強く持つようにしましょう。これからの大家さんには投資感覚が必要ですし、お金を増やしていくビジネスセンスを磨くことが求められます。
ローンを組む際はマンション全体で考えるよりも、部屋を一部屋ずつ管理する感覚で借入金を導き出した方が、予算のイメージが掴みやすいところがあります。例えば6部屋あるアパートの場合、6個の小さな会社を経営するような感覚で、それぞれの部屋のリノベーションを考えていくといいでしょう。一つの部屋が魅力的なものになれば、そこの部屋単体での入居率が高まるので、修繕費にどのくらいの予算が必要なのか計算しやすくなります。ビジネスでいえば小さな会社に投資をして、売上を伸ばしていくようなイメージです。
部屋のリノベーションは「起業」と同じだと思ってください。起業で成功するためにはお金が必要です。そして、そのお金は多ければ多いほど事業の成功確率は上がります。ローンを組み、リノベーションに積極的に投資をしたほうが、より魅力的な物件になり、大家さんの収入も右肩上がりで増やすことが可能になります。大規模修繕は「手段」であり、本当の「目的」は収益性の高い物件を手に入れることだということを忘れないでください。