大家の日曜大工が 物件をダメにする!
アパートやマンションの大家さんは、日曜大工が大好きです。物件の壊れたところを見つけると、工具を持って駆けつけて、プロ顔負けの作業で直してしまいます。
しかし、簡単な扉の修理やペンキ塗りであれば、趣味の延長線上で素人でも修復作業を行うことができますが、本格的な修繕作業の場合、素人が独自の判断で手を出してしまうと、逆に費用が高くついてしまうケースがよくあります。
先日も、外壁にひび割れを見つけたいわき市内の大家さんが、自分の判断でシーリング材をホームセンターで買ってきて、ひび割れ箇所を塞いでしまうことがありました。
しかし、市販のシーリング材と私たちのような専門業者が使用するシーリング材とでは、素材がまったく違うため、一緒に使用することができません。そのため、事前に市販のシーリング材を剥がす作業が必要になり、その結果、作業日程が増えてしまい、逆に修繕コストが大幅に増えてしまうことがありました。このように、良かれと思ってやった大家さんの行為が、逆にコスト増に繋がってしまうことが作業現場では多々あるのです。
また、素人判断で塞いでしまった外壁の中で雨水が溜まり、内部で素材を腐らせてしまうことも郡山市の物件で過去にありました。その物件の大家さんはネットで情報を調べ、自分でもできると判断して修繕を行なったとおっしゃっていました。外壁に関しては、長年の経験とプロの技術力が必要なため、素人の判断は禁物と言えます。
最近、いわき市内や郡山市内のトラブルで多いのは、ネットショップで大家さんが照明器具や手すり、ガス器具などを購入するケースです。安く買って自分で取り付けようとしたところ、サイズが合わなかったり、加工しなければ取り付けられなかったり、買ったものがまったく使えなくなることがよくあります。
型番の読み間違いや年式違いのほか、海外で生産された類似品を買ってしまい、実際に手元に届くと、少しだけねじ穴がズレていたり、サイズが変わっていたりして、返品も効かず、粗大ごみとして未使用品を捨てることになるケースも一度や二度ではありません。
日曜大工が好きで、自分の物件を自分で修繕したい気持ちはよく理解できます。できるだけコストを抑えたい心理も、物件を持つ大家さんとしては当然の行為と言えます。しかし、一般の人では修繕作業が自分でどこまでできるかの線引きが難しく、結果的に大きなトラブルを招いてしまうことのほうが多いのです。
修繕を自分で行うことは、私たちの仕事を理解していただく上で大歓迎のことではあるのですが、アパートやマンションを長持ちさせることを本気で考えるのであれば、プロに修繕箇所を見てもらい、しっかりとした作業をしてもらったほうが最終的にはお得なのではないかと思います。